HIV感染症に結核が合併している時の治療は?
日曜日も終わりますね。おやすみは短いです。
先週末から救急当直でなかなか更新ができず...毎日更新するのを目標にしていたので悔しいです。最近はどこの医療期間もインフルエンザが院内で蔓延していて、近隣の病院は満床のようで...。先週は胆管炎の患者さんを100km近く離れた病院まで同乗して搬送してきました。
土日はHIVセミナーでお勉強。
HIV感染症はまだ外来や入院で症例を見たことはないのですが、呼吸器内科で見ることはあると思うので、しっかり勉強していきたいです。東京オリンピックもあるので、知識を持った医師の需要は高まりそうです。(HIV感染症の治療ガイドラインは頻繁に変わるので、ついていくのが大変です)
今回はART治療を開始していないHIV感染症の患者の結核合併例ではどのような治療がされるのか、まとめてみました。(HIV感染症「治療の手引き」より抜粋)
・HIV感染と結核は相互に悪影響を及ぼし、特にHIV感染により、潜伏結核が活動性結核に進行するリスクは約100倍!である。
・結核合併例にARTを行う場合は、治療の順序や薬物相互作用、副反応、IRIS(免疫再構築症候群)による結核の発症に注意をする必要がある
・活動性結核があれば、直ちに治療。標準的な結核治療法に準ずるが、治療期間が長くなることがある。(レジメン:RFP・RBT/INH/PZA/EB)
・ただし、薬物相互作用がある。RFPはPI、NNRTIの血中濃度を下げるので、併用禁忌。RBTは薬物相互作用が軽いので、代替薬として使用できるが、用量調整が必要。
※RFP併用が推奨されない薬剤
PI/r、EVG/COBI(ゲンボイヤ)、RPV(エジュラント)
・EACS guidelineにおける推奨ART
第一選択: RAL(アイセントレス)+TDF/FTC(ツルバダ)またはEFV(ストックリン)+TDF/FTC
第二選択:PI/r +リファブチンまたはDTG(テビケイ)+TDF/FTC
●結核合併症例に対するART開始時期
・抗結核療法開始後は、早期のARTによりIRISを合併しやすいので、治療開始を同時に始めることは推奨されない。
・DHHSのguidelineでは下記のようにされている。
・ただし、活動性結核で症状が重篤な場合は、CD4陽性細胞<50でも2週間以内のART治療により容易にIRISを発症する可能性があるため、2ヶ月程度待ってから治療開始する場合がある。
●結核のIRIS
・結核はIRISとして発症、増悪しやすい疾患の一つで結核治療中にARTを開始した場合に特に多い。重篤でなければNSAIDSの併用で対処できる
・重篤な場合は高用量ステロイド(PSL 1-1.5mg/kg)の併用を検討する。このような場合はARTの一時中断も考慮する。
今回学んだセミナーはとても勉強になりました。
明日からまたお仕事頑張ります!