気管支拡張症のスコア
あっという間に月曜日です。
今週の英語のカンファレンスでは、42歳男性の右背部痛の症例でした。結局、最終診断は当初出ていた鑑別疾患には入っていたのですが、なかなか救急外来で診断をclearにつけるというのは難しいですね。
本日はCHESTから、気管支拡張症のCTのスコアリングについてです。
The BRICS (Bronchiectasis Radiologically Indexed CT Score)
A Multicenter Study Score for Use in Idiopathic and Postinfective Bronchiectasis
http://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(17)33213-0/fulltext
●気管支拡張症について
・慢性炎症によって、太い気管支が拡張され、破壊されていく疾患。原因疾患は様々あるが、Up to dateには下記のように記載されている。
・腫瘍やRAなどによるもので合併した続発性の場合と嚢胞性線維症やIgG/IgA欠乏症、好中球遊走能の低下などの先天性の場合がある。
・外来では、IgGやIgAなどの免疫グロブリンや電気泳動でCVID(分類不能形免疫不全症)を検討することもある。他、ABPAが疑われる症例では、アスペルギルス沈降抗体も提出。嚢胞性線維症を疑うのであればCFTR遺伝子を調べる。
・最大の問題点は、慢性炎症と低酸素血症により気管支に新生血管が出現し、大量喀血で窒息の可能性があること。
・また、気管支拡張症の患者は気管支に菌が定着する場合が多く(頻度の高い病原体には,インフルエンザ菌(35%),緑膿菌(31%),Moraxella catarrhalis(20%),黄色ブドウ球菌(14%),肺炎球菌(13%))、何の菌が定着しているか確認する必要がある。
・現在の医療では完治する病気ではない。The European Respiratory Societyのガイドラインでは、成人で急性増悪を繰り返していて、緑膿菌感染を繰り返している場合では、吸入の(?)抗緑膿菌薬で対応しても良い。緑膿菌以外で慢性炎症を呈している場合は長期マクロライドを使用する。
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本題
Background)
気管支拡張症については、1991年にBhallaらが嚢胞性線維症(以下CF)の患者を対象としてCTによる増悪のseverityをスコア化した。その後ReiffによるReiff scoreやBronchiectasis severity indexなどのscoreが使用されていたが、どれも喫煙の程度や気管支拡張症の程度に関しては一貫せず、より精度の高いscoreが検討されていた。今回は特発性/感染後の気管支拡張症患者で喫煙歴はある程度絞った群における、CTでの気管支拡張のseverityを評価した。
Methods)
2006年から2013年の間でのUKのthe Royal Infirmary of Edinburghでのcohort study。対象患者は初診時にthin-sliceの胸部CTを施行。臨床的なparameterは、膿性痰の有無、急性増悪での入院歴、抗菌薬の投与が必要だったか。また、好中球エラスターゼは痰が喀出され測定できる場合に測定した。
Results)
Bhalla scoreは優位に%EFV1、喀痰、病院の入院率と相関した。
好中球エラスターゼは優位にCTで肺気腫が認められた群で高値であった。