呼吸器内科医への道

呼吸器内科医を目指す研修医のブログです。勉強したこと、日々の出来事について更新していきます。誤記載などありましたら修正していただけると嬉しいです。

インフルエンザの迅速検査はいつやるか?

インフルエンザの流行が続いています。

国立感染症研究所の報告によると、定点当たりの報告数は増加傾向だそうです。

以下国立感染症研究所のHPから引用します。

2017年第51週の定点当たり報告数は12.87(患者報告数63,774)となり、前週の定点当たり報告数7.40よりも増加した。
 都道府県別では宮崎県(26.03)、長崎県(25.57)、岡山県(25.19)、山口県(22.22)、大分県(20.95)、広島県(20.60)、福岡県(20.42)、長野県(20.08)、愛媛県(20.08)、埼玉県(19.57)、沖縄県(18.43)、熊本県(17.28)、佐賀県(15.95)、鹿児島県(14.76)、静岡県(13.99)、東京都(13.93)、滋賀県(13.72)、千葉県(13.01)の順となっている。全47都道府県で前週の報告数よりも増加がみられた

 

入院は1〜9歳で177例、80歳、90歳代で80〜120例とやはり小児と高齢者で多くなるようです。

 

当院でも発熱と感冒症状、筋肉痛などを主訴に、よく「インフルエンザの検査をしてください」と言って来られる方がたくさん、たくさんいらっしゃいます。

医師はこの時期になるとインフルエンザの迅速検査をなんどもやることになると思いますが、果たしてこの検査を持ってインフルエンザである・ないを診断して良いのでしょうか。

 

迅速検査の感度はmeta-analysisによれば60%程度、特異度は98%だそうです。これは特に成人で感度は低く出る傾向にあり、別のmeta解析によれば感度は50%くらいしかなかったようです。この結果を見るとインフルエンザを疑って迅速検査をしても陰性だった場合、本当にインフルエンザではないかと言われたら、断定できませんね。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=22371850

 

現時点ではRT−PCRが一番感度も特異度も高いのですが、当日の外来で結果が出るわけではないし、現実的には迅速検査が最も手っ取り早いのかと思います。

 

ちなみにインフルエンザだからと言って、前例に抗インフルエンザ薬を処方するわけれはありません。基礎疾患のある患者、合併症を引き起こした場合は投薬することが多いです。

インフルエンザ迅速検査をやってください→陰性でした→インフルエンザではない?じゃあ対症療法で という流れではいたずらに迅速検査がやられっぱなしになるままではないかと思います。

 

やはり接触歴の有無と臨床症状でインフルエンザの診断をするべきで、何も基礎疾患がなくリスクが少ない人では対症療法で良いのであれば、迅速検査をしなくても良いと思います。

 

では、いつ迅速検査をやれば良いのでしょう?

基礎疾患があって、よく分からない発熱を主訴に来院して、もし迅速検査が陽性になってoutcomeが変わるようだったら、迅速検査の意味もあると思います。