呼吸器内科医への道

呼吸器内科医を目指す研修医のブログです。勉強したこと、日々の出来事について更新していきます。誤記載などありましたら修正していただけると嬉しいです。

レジオネラ肺炎

レジオネラ肺炎を疑う人が来たのでまとめます

 

【レジオネラ症】

病原体:Legionella pneumophilaを代表とするLegionella属の細菌

    好気性のブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌 細胞内増殖菌

   菌は1属41種に分類されている 

感染経路:環境中のエアロゾルや土埃の吸入による経気道感染

潜伏期間:2−10日間(平均4−5日間)

 

もともとは1976年にPhiladelphiaのホテルで在郷軍人の集会があり原因不明の肺炎が集団発生し、それを契機に発見された最近です。Legionellla属の死菌を吸入することによって急性発症のインフルエンザ様の症状が出るポンティアック熱というのもあります。

日本では1981年に初めて報告されました。

 

24時間風呂が有名ですが、これは24時間風呂だと40度程度の加温までしかしないので、レジオネラ菌が死滅せず増殖しやすい最適な環境だからです。

 

検査所見:レジオネラは採血や症状で特異的な所見があります。

Can Legionnaires disease be diagnosed by clinical criteria? A critical review. - PubMed - NCBI

・消化器症状ー下痢

・神経学的所見ー意識障害

・39度以上の発熱

グラム染色で白血球は多いが明らかな菌を指摘できない

・低Na血症、低P血症

・肝機能異常

・血尿

慢性肺疾患が背景にある人、喫煙者はLegionella症発症のリスクが高いと言われています。

 

【診断】

培養:BCYEα寒天培地 普通の培地では培養されないので、選択培地を用いる。初代分離には3日以上要する。重要な検査ではあるがなかなか培養するのが難しい。

染色:ヒメネス染色、鍍銀染色

遺伝子診断:PCR DNA-probe法

尿中抗原:起因菌の80%をしめると言われている血清1型を検出。感度は文献によってまちまちであるが、概ね感度80%、特異度80−90%

実際に当院で培養されたLegionellaの培地です。

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治療:ニューキノロン系またはマクロライド

例:レボフロキサシン500mg1日1回10−14日間または750mg1日1回5日間

ニューキノロンvsマクロライドのRCTはないが、どちらも死亡率と入院期間は変わらない。併用療法で改善した症例もあるが、単剤vs併用を調べたものはない

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